『MARIONETTE ~糸使い~ DVD Edition』
実際にやってみると、
自分が期待していた部分と良かった部分が結構違う作品となった。
元々は主人公と戦闘部分が注目されていたような覚えがあり、
実際その戦闘部分を注目してプレイを開始したものの、
……当時としてはともかく、今見ると結構その点は貧弱なのが正直な印象。
演出やイベントCGの弱さは痛いとはいえ、
古い作品だとして考慮するものの、本作の戦闘シーンは何と僅か3回。
短めであることを考えても少なく、
この点は拍子抜けしたというのがプレイ後の気持ち。
また、バトルの展開も後述する思考部分を除けば意外性は低め。
そのバトル部分以外ではHシーンが多く展開される(日常シーンは少なめ)のだが、
こちらもやはり今見ると塗りの面が物足りず、
雰囲気を高めてくれるまではするのだが、
正直短かったりHシーン自体のテキストが弱かったりでこちらもいまいちだった。
……それでも、結構楽しめた部分があったのも事実。
自分の中で最も評価出来たのは心情や感情の描写・変化部分。
戦闘やHシーン(調教)を通したこの描写が短いプレイ時間で
しっかりと書かれていると感じたから。
特にその点を意識させてくれたのが葵との衝突時。
他人に舐められるのが嫌い、自分の所有物を他人に使われるのが嫌いという広樹。
そしてその発言に自分の琴線に触れる部分があって、
常に堂々としている広樹が驚く程の殺気をぶつけてくる葵。
こういった感情の変化が本作では激しい。
これらの心情を戦闘、そして調教を通してくれるその内容が本作では最も印象的だった。
ここは主人公広樹が、戦闘や調教自体でもそうだが、きちんと状況や相手を観察
相手の行動の違和感をきちっと突いてくれるのも大きい。
刻々と変わる感情や心情を、主人公がきちっと指摘し描写してくれるため、
プレイヤーであるこちらは解りやすく物語へと没入することが出来た。
どうしてこの人物はこう考えるのか――本作の魅力はその描写にあると考える。
戦闘中、調教中に湧き上がる広樹の心情描写の方が、
戦闘状況や実際に調教しているときを書いた部分よりも楽しむことが出来た。
この終始徹底された心情の書き方が、強くキャラクターを意識付けてくれたように感じられる。
燃えはいまいち、
調教も(心情描写はともかく実際の行為部分は)あっさり、
だけど心情は明快で濃密で、変化が大きい部分がありながらもキャラクターが掴みやすい。
感情移入がしやすい。テキスト以上にイメージによって内容が解りやすい。
それぞれの事情から歪んでしまった人たちの人間模様――
そういう物語としては、結構好きになれた気がする。
・追記
ある意味徹底して主人公:広樹のキャラをぶらさなかったのはお見事。
……でもおかげでヒロインとのらぶらぶ感も弱かったのは、
そういうゲームではないとはいえ少し残念。
好きなのかと主人公に突っ込まれてうろたえる茜は
(そのときのCGと合わせて)可愛いと思っただけに。
結構癖が強い人物が多いのに、
どのキャラも一定以上気に入れた作品って珍しい気がします。
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